当山を参拝するのに、泉涌寺参道から左に折れて観音寺に入ると、真っ先に目を引くのがこの赤い橋「鳥居橋(とりいばし)」です。観音寺と泉涌寺の間の谷を流れる川を今熊野川といいますが、その川を越えるのが鳥居橋です。
私たちにとってかけがえのない宝物、それは子供です。大切な子供達を護り育んで下さるのが、こちらのお大師さま「子護弘法大師」です。
弘法大師が当山を開かれるときに錫杖をもって岩根をうがたれて湧き出した水が五智水です。その五智水が井戸水として湧き出しているのが、この「五智の井」です。今日なお清涼なる清水がこんこんと湧き出し、私たちに深き恵みの水をお与え下さっています。
現在の観音寺本堂の位置は、かつての奥の院順礼堂にあたると伝えられています。弘法大師が熊野権現とお出会いになられた、最も神聖なる場所にあたります。
本尊は、弘法大師御作と伝えられる十一面観世音菩薩(身丈・一尺八寸)。
体内仏として熊野権現より授かった、天照大神の御作の十一面観世音菩薩(身丈・一寸八分)が祀られています。
本尊は秘仏とされていて直接拝むことはできません。しかし代わりに同じお姿をされた御前立さまが立たれています。
脇仏は、智証大師円珍作と伝えられる不動明王と、運慶作と伝えられる毘沙門天です。
そのほかこの本堂には、大聖歓喜天(聖天)、薬師如来、准胝観音、三面大黒天などのほか、京都七福神の祭祀として恵比須神をお祀りしています。
ここでは毎日早朝より、当山僧侶によってご祈祷などが厳修されています。
当山を開創された弘法大師をお祀りしているお堂です。
檀信徒の方々の御法事など、おもに回向道場として使用されます。地蔵菩薩が御本尊で、十一面観音や弘法大師とともにお祀りされています。
大師堂の前に立たれる観音さまが、「ぼけ封じ観音」です。私たちをとりまく心や身体のぼけを取り除いて下さる観音さまです。
毎日たくさんの人々が、お引き受け御宝珠に願い事を込めて奉納されています。この御宝珠に、お名前と、持病治癒や健康長寿、ぼけ封じなどの御祈願を記入し、ご本堂にて御祈祷を申し上げ、ぼけ封じ観音さまのおそばにご奉納させていただきます。
当山の鎮守社として二社あるうちの一つが「稲荷社」です。稲荷明神をお祀りしています。大師堂の南側に位置し、「熊野権現社」とならんで鎮座されています。
稲荷明神と弘法大師との関係はきわめて密接です。大師は東寺の門前に於いて稲を負いたる老人に逢い、これを祀って東寺の鎮守とされました。稲をになっておられたところから稲荷と呼ばれるようになったと言われています。
稲荷祭にあっては、伏見の本社より洛南九条の御旅所に来たり、東寺の南大門より内に入り金堂前で奉幣供養の儀式が行われ、還幸に際しては東寺の慶賀門(東門)にて奉幣供養が行われます。
このゆえに真言宗では稲荷明神を大切にし、また各寺院において鎮守として盛んに奉祀されています。
当山の鎮守社として「稲荷社」とならんで鎮座されますのが、「熊野権現社」です。
鎮守社の南側に、この「鐘楼」があります。この梵鐘の鋳造は古いのですが、太平洋戦争のときに供出されました。しかし観音様のご加護によって元のままの姿で残されており、不思議なえにしにより現在の位置にもどりました。昭和21年10月13日の修理された日付が入っています。
当山を開かれた弘法大師が、熊野権現の御霊示にしたがい、観世音をまつるのにふさわしい霊地を選ぼうと、錫杖をもって岩根をうがたれると霊泉が湧き出しました。大師はこの清涼なる清水を観音御利生の水として崇められ「五智水」と名付けられました。爾来今日に到るまでこんこんと湧き出し、私たちに深き恵みの水をお与え下さっています。
当山の池の近くにて金色の巳(蛇の神)さまがお姿を現わされ、そこでお祀りされたのがこの「金龍弁財天」です。現在でも多くの信徒の方々がお参りをされ、ご加護を受けておられます。
鐘楼横から五智水を経て、参上の医聖堂に到るまでの参道に、西国三十三ヶ所霊場の各御本尊を石仏として奉安し、皆様に巡拝して戴けるよう祭祀されたものが「今熊野西国霊場」です。第一番より、山上の第三十三番まで続いています。
本堂東側の山上にひときわ高くそびえ立つ平安様式の多宝塔です。 医と宗教がともに手をたずさえて、人類がともに明るく健康に暮らせるような社会が築かれますよう、との住職の願いを込めて建立致しました。
「霊光殿(れいこうでん)」当山檀信徒のための納骨堂です。台座の上には阿弥陀如来が鎮座されています。
英照皇太后の思し召しにより御下賜され、明治25年以来、清風白雨の中に百数十年の歳月を経た由緒あるお茶室です。(※非公開)
当山の法要・行事の際に、しばしの間ご休憩いただくための施設です。
赤い橋「鳥居橋」を渡って参道を進むと、ひときわ目を引くのがこの「大講堂」です。緑豊かな自然環境の中で、周囲の堂塔伽藍とともに三階建ての美しい姿をたたえています。
本堂から北へ進むと、藤原三代の宝塔と呼ばれる3基の供養塔があります。向かって左手より、藤原長家、藤原忠通、慈円僧正の塔と伝わっております。
藤原三代の宝塔からさらに奥に少し進むと大型五輪塔、左右には小型の五輪塔、月輪塔(円盤梵字塔)など計5基が横一列に並んだ見事な石塔群があります。